渋谷区の歯科医院の解体工事と原状回復工事
今回は渋谷区の繁華街にある歯科医院の解体工事と原状回復工事です。

この歯科医院は18年間のあいだ、このビルで診療をしておりましたが、今回は移転のための解体工事と原状回復工事、移転先の工事のご依頼です。


この歯科医院様は移転による解体工事・原状回復工事ですが、渋谷の繁華街ということもあり人通りも多く、通行人への配慮もしなければいけないので結構気を使う現場です。騒音の出るほとんどの作業と瓦礫の搬出、トラックへの積み込み、外看板の高所作業車による作業は夜間となりました。

今回の工事は見積りよりも高くなってしまっただけでなく、「絶対に見積り通りにいかないケース」でもあるので、これから解体工事と原状回復をお考えの先生は是非参考にしてください。
解体工事の難易度としては「MAX級」です。
では、どうして高くなってしまったのかを解説したいと思います。
解体費用が高くなった理由
理由その1、床と天井
「床」と「天井」でご説明すると分かりやすいかもしれません。
歯科医院の場合、ほとんどが出入口から床が数段上っており、高さにすると20cm〜30cmといったところでしょうか?
その高くなった床の上にユニットが設置されており、床下には配管が通っています。
そのあげた床の高さの分、天井が上がっているのです。

この建物は言うなら昭和、平成の建築という感じで天井が低く、元通りの基準も結構厳しいビルなのです。

えっ?天井が高い方が今風で良くない?
先生がこう考えるのも分かります。
解体工事で床を壊した場合、天井までの高さが余裕があって一見良さそうに見えるのですが、オーナー様側の建築仕様基準が「元通り」となっていたら・・・・
天井の高さを元々のあった高さにしなければいけません。

えっ?長さを足せばいいじゃない!
って思うかもしれませんが、長さを足すと強度が保てないので、この場合、一から作り直しになります。
その分原状回復の費用が余計に掛かる事となりました。
理由その2、壁と天井
続いては「壁」と「天井」です。
歯科医院の内装は多くが歯科専門デザイン会社設計の造作によって壁も手が込んだ造りになっている事が多く、ユニットが設置してある場所は半個室になっている事が多いですね。
東京都内の歯科診療所の多くは事務所使用を目的としているところを賃貸契約して歯科診療施設に作り直しているところが多いと思います。

ただでさえ歯科診療所の件数が多く、オーナーチェンジ的な歯科医院の譲渡は減少傾向にあるので、歯科医院が出た後は事務所仕様にして戻すという事は一般的によくあることです。
「今回は「壁」を剥がしてみないと元々の壁がそのまま使えるかどうか分からない」
とういう課題に直面しました。
オーナー側の原状回復の仕様基準は「石膏ボードの上に指定の塗料で塗装」という条件でした。
歯科医院の壁は「この塗装された石膏ボードの上にクロス」を貼ってました。
このクロスを剥がすと糊が残る。
オーナー側からは、

糊が残るならその上に塗装は・・・それであれば仕上がりが元通りにならない。であればボードは新品でお願いします。
こちらも色々提案しました。
このSDGsの時代、廃棄より再利用できるものは再利用!エコですよね〜
これ、普通です。
なので、石膏ボードを再利用して塗装用のシートを石膏ボードに貼ってその上に塗装する事をオーナー側に提案しました。

それの方が石膏ボードに直接塗装するよりも仕上がりも良いしボードも再利用できる。これでだめですか?
このような提案は・・・・
残念ながら通りませんでした(涙、、、)
理由その3、一切融通が効かないオーナー側
でも、この物件は18年も歯科診療所として借りていた物件。
そう!「経年劣化」というものがあるのです。
経年劣化はオーナー側が負担になるのが一般的。
ここで登場するのが
「国土交通省の原状回復におけるガイドライン」
このガイドラインは一般的な賃貸契約でのガイドラインとなっていますが、過去の事例では事業目的でも用途目的によっては経年劣化として認められるのです。
それはどういう事かというと、契約書に「元通り」などの特記事項が無い限りというのが前提ですが、本来は次の入居者の為の工事を前の借主である歯科医院側が経年劣化分も全額負担をする必要が無いという事です。
オーナー様によっては、

床は低くして配管を除いて凸凹や穴を均してくれたらそのままでいいよ!次の人が好みのカーペットや床にするから〜
こんなオーナー様の方が多いのですが、ごく稀に厳しいオーナー様もいらっしゃるのです。
ですが、

元どおりにならないならばボードを新品にし、その上で塗装を施して仕上げてください。とにかく元どおりです。見本は他の階にありますので!

えっ?ボードの塗装用下地になるシートを貼ってその上に塗装を施したら仕上がりもきれいになるし、無駄に費用もかからないのでは?
そんな話も一切聞く耳持ってもらえません。

今回は、「壁を剥がしてみないとわからない」「もしかしたら下から使える壁が出てきたら再利用」など、金額が大きく変わる要素があるので見積りでは金額が算出でき無いケースでした。
契約書を拝見しましたが、契約書に「元通り」などの特記事項が一切ありませんでした。
私たちも国土交通省に問い合わせして、今はやりのAiなども駆使して過去の前例なども調べてみました。
調べてみた内容をオーナー側に伝えてみると、

あまりAiの内容を鵜呑みにしないほうがいいですよ!
こう言われる始末。私も一応ITをかじった人間で教えている側なのに逆に教えられてしまいました(笑)Aiはプロンプト次第で回答も大きく変わります。
どんな方なのかはだいたい想像できますよね。
話をまとめると、オーナー側は、「それって個人向けの賃貸契約の場合は経年劣化というのはわかりますけど事務所向け賃貸契約は経年劣化は関係ない」という主張でした。

なんとか借主である歯科医院様側に有利な条件を探しだしたかったのですが、「なるべく平穏に」と「工期があまりにも短い」ということで、オーナー側の条件そのままの工事になってしまったのでそのぶん高くなってしまったのが現状です。ちなみに、半年前退去をオーナー側に告知して、原状回復の工事条件の仕様書が送られてきたのは2ヶ月も経ってから・・・・
歯科医師の先生はお知り合いに弁護士の先生などもいらっしゃると思います。歯科医師会でも弁護士の先生がいらっしゃると思います。
契約書や原状回復の条件が「昭和・平成時代」であれば現在のニーズにあった条件に沿った内容に交渉ができる余地があるかもしれません。
今の時代は蛍光灯もLEDにしなければならない時代です。
過去の裁判例などでの前例を弁護士さんが探してくれるかもしれませんので「きびいしいオーナー」の場合は前もって退去の条件を聞いて相談しておくのが良いでしょう。
理由その4、繁華街と夜間工事
夜間工事は主に「騒音」「繁華街で人通りが多い」など、解体の作業条件が悪い時になる事が多いです。
先生に聞いたところ、

「前は昼間に工事をやっているところもあって、騒音が結構あったのに、どうしてウチが出る時だけ工事を夜間にしてくれって・・・意味がわから無い!」
オーナー様側と

「もちろん騒音に配慮した上でですが、昼間に作業を行って騒音が他のテナントさんから苦情が出たら夜間に・・・」
と交渉を重ねたのですが、
ダメでした!
解体したものは早朝にトラックを道路を止めて積み込むのですが、こういった繁華街は「道路仕様許可」を警察署に届け出をしないとすぐに駐車禁止の切符を切られてしまいます。
しかも繁華街は駐車場料金も高いので大変です。

弊社では関東圏に特化しているのでガソリン代は距離が近いので少なく済みます。作業員も現場への出勤が楽になります。
原状回復工事はそんなに騒音が出ないので昼間に作業ができますが、解体工事はどうしても音が出てしまうので、作業にとても気を使います。
夜間工事は作業員の作業代金が割り増しになるので、その分先生のお支払金額が増えてしまいます。
理由その4、後期の短さで作業員増加
「夜間工事」、「人通りの多い繁華街」、「原状回復の条件が厳しい」という条件の悪い中、今回の現場は後期も短いという「悪条件」が重なってしまいました。
解体工事と原状回復工事を1ヶ月と10日で終わらせなければいけないのは至難の技です。
もちろん工事が早く終われば先生の費用負担も少なく済むので、大家さん、オーナー様とは最後の家賃は日割りでとの交渉など、ある程度柔軟に対応してもらうのが望ましいです。
「でもそういった決まりになっているのでこちら側が譲歩する必要は一切ありません。」
といったオーナー様もいらっしゃるので、全てにおいて対応してもらえるとは言えません。

揉めて退去とか、物件が嫌で退去では無いならば、「長年にわたって借りてもらってありがとう」とか「今までお世話になりました」と多少の譲歩もあっては良いと思うのですが、そういった事が全く無いというところもあるという事です。
安心、安全に工事を行うとなると、工期には余裕を見て最低でも2ヶ月は必要です。
これからテナント退去を考えている先生は、余裕を見て解体工事と原状回復工事に臨んでください。


